元アクセンチュアの人が書いた社員が成長する仕組みについての本を読みました。人材開発に関わる人間としてとても参考になりました。コンサルタントらしくシンプルに分かりやすい構成で書かれていたので、読む側としても吸収しやすい本でした。
アクセンチュアのプロを育てる仕組み
何かのブログで知って、最近考えている課題にヒントになりそう!とピンときたのでKindleで読んでみました。
作佐部孝哉さんという元アクセンチュアの20年以上コンサルタントとして活躍している方の著書です。
VUCAな時代の4つのトレンドを示しつつ、国内外の優良企業のハイパフォーマー(上位管理職者)8,000名の調査から分かった共通要素(3つの力)と、その力を身につけていく際に必要な姿勢(49個の成長のルール)について書かれてあります。
これらをアクセンチュアでは徹底的に教え、2014年にはグローバル200社の中でも一番「社員が成長する会社」になっています。特に最初の1年で土台(心構えや行動特性)を築き上げることが大切だそうです。
アクセンチュアの目指す人材像は「アクセンチュアによって自らを進化させ、アクセンチュアに進化をもたらす人材」なので、そのために様々な教育の仕組みを作ってるんでしょうね。
非常にシンプルで分かりやすく、かつ、「そうだよなー」と思える納得感の高い内容が列挙されていて参考になりましたし、自社の人材開発に当てはめてみて、盗めるところは盗みたいと思える本でしたのでメモしときます。
ハイパフォーマーに必要な3つの力
ハイパフォーマーの調査から分かった共通要素(3つの力)とは、
- 構想力
- 人間関係構築力
- 実行貫徹力
の3つです。
構想力は、長期と短期の視点を両方持ち、変化を起こせるビジョンを描いて意思決定する力です。人間関係構築力は、多様な人材を活かせる社内社外を問わず巻き込んでいける力です。実行貫徹力は、行動としてのトライ&エラーを意図的に繰り返し成果を出す力です。
ふむふむなるほど。という感じです。
また、この3つの力の前提として、knowing(どう知るべきか)でもdoing(どうするべきか)でもなく、「being(どうあるべきか)」を重視していることも共感しました。
何かを成し遂げる(doing)ことは、どういう人間になるか(being)という人生の目的にとっての手段であるということです。
49個の成長のルール
「ハイパフォーマーは誰でもなれる」という考え方のもと、その成長するためのルールを、カテゴリ毎に整理して書かれてありました。
基本姿勢のルール
- 何が勝ちかは自分で決める
- セルフハンディキャップを外して挑戦する
- やりたい場所に自分の旗を立てる
- 参加することで違いを生み出す
- お買い物感覚で仕事をしない
- 会社より先に変化をとらえ、自ら変わる
- パレードを見つけて先頭に立つ
- 仕事の報酬を勘違いしない
1の中で、挑戦の道を選ぶときは親切で優しい他人のアドバイスを聞き過ぎないと書いてあったのは強烈でした。確かにだけど。笑
2は、できるできないではなく、やる価値があるかどうかで判断することが大事だというのが納得でした。また、一つ上の役割だったらどうするか考えるという話も、個人的に「2つ上の役職で仕事する」ということを昔に教わり実践し続けようとしているので共感しました。
3はオンリーワンはどこだ?ということで、5は目先の損得勘定に囚われるなということです。
6のためにも自分の専門性は極限に高めておくことが大事だそうです。
7は、現フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグさんが以前グーグルに務めるかどうか迷っていたときに、エリック・シュミットの「ロケットに飛び乗れ」という言葉で転職を決めたという話があるそうです。要は、上りのエスカレーターに乗れという話かなと。
8に書かれてあった、金銭報酬の他に、「作品」(自分が取り組んだ消費やサービスなど)、「人脈」、家族からの「評価や感謝」も報酬だよという姿勢は取り入れようと思いました。
学ぶ力を磨くルール
- 成長の年輪を刻み続ける
- 「わたし株式会社」を舵取りする
- 毎日1%でも成長する
- 人生を1週間でとらえてみる
- 「注力すること」と「やめること」を決める
- その道のプロになるために「1万時間」努力する
- 心のレセプターを開く
- 顧客を鏡として自分を磨く
- 忙しいときこそ、次の山に登り始める
これらは学び続け、日々進化するためのルールです。3つの力の前提として学ぶ力が必要だという話ですね。
1は、他人との相対比較ではなく、昨日の自分と比べてどこが成長したかを振り返ることの重要性が書かれてありました。激しく同意。
2と3では、短期的なPLより長期的なBSを意識しなければと改めて思いました。第二領域にどれだけ時間を避けているかということだなー。あと、一度サボると取り返すのに何倍もかかるという「成長の福利効果」の話が印象的でした。
4は人生を1週間で考えると仕事をするのは水・木・金だけという話。「今ここ」をがんばろう!と思えますね。
5と6は「スキルの習得に10,000時間は必要ない!たった20時間でOKな理由は・・・」という話もありますのが、とにかく専門性を極めようと思いました。
人を指差して「この人が悪い」と言ったとき、中指・薬指・小指は自分の方を向いているとい気づきが8でありました。
構築力を磨くルール
- 本質的な問いを突き詰める
- ロジック(論理)だけに依存しない
- 茶道の「見立て」で物を見る
- 逆ばりで考える
- 引き算で発想する
- 何気ない日常を「意思決定の場」ととらえる
- 意思決定を連打する
- データにこだわる
- リスクとは「危険」ではなく「結果の振り幅」と考える
1の6の「そもそもこの問いでいいのか?」という問いの重要性を改めて感じたことと、日常を意思決定の場にすることをもっと意識しようと思いました。
また、3の「良い発想は鍛えられる」ものであり、そのために普通や当たり前を理解するということも大事だと理解しました。
人間関係構築力を磨くルール
- 人の話を聞けないジレンマに気づく
- 相手の本音や真意を訊き出す
- 正しいと思ったら摩擦を恐れない
- 「言わない」気配りより「言い方」の気配りをする
- 発言を重ねて影響力を高める
- 話し方のうまい人を真似る
- 「テクニック」よりも「相手への想い」を磨く
- 意見の対立は「問題の再定義」で解決する
- モノサシを揃える
- 一歩引くことで異才同士を「糊付け」する
- 上司こそスポンサーに仕立てる
- まわりから巻き込まれる存在になる
1に書いてあった、「間や沈黙を絶対に自分から破らない」というルールをもっと意識しようと思います。
実行貫徹力を磨くルール
- 「思考」の速度より「試行」の速度を上げる
- 自分の得意分野以外はその道のプロに任せる
- 都合のいいときだけ「サラリーマン」にならない
- 「考え方」を考える
- 仕事の意味づけをしっかりする
- 常に全力疾走ではなく「勝負どころ」で集中する
- クイック&ダーティーを習慣にする
- 自分なりの勝てるルーティンを持つ
- 緊張を味方にする
- 失敗のあとは堆肥化を怠らない
- 終わったと感じたときに再スパートする
「まずは実行し、走りながら、軌道修正し、自分らしい正解にたどり着く力」=「実行貫徹力」だそうです。
8では、もっと自分の仕事をルーティン化(型にして標準化)してスピードと精度を上げ、浮いた時間をつくる意識を持とうと思いました。
11の、相手の期待を1%でも超えているかという姿勢を持つことはすごく重要だと感じました。期待を超える仕事をし合うことが、信頼の構築につながり成果や働きがいにつながるという考え方を別で聞いたこともあったのでタイムリーで納得感がありました。
これらの「成長のルール」を以下に日常に取り込めるかが重要だと思うので、このメモを見返しつつ仕事をしていこうと思います。
では、また!