中原淳さんの最新著書『働く大人のための「学び」の教科書』をKindleで買って、出張の道中で読みました。
改めてそうだよなーと思った点も多かったですが、これからより大事になってくる「大人の学び」について、体系的に分かりやすい言葉で書かれてあり、頭の整理になりました。
INDEX
働く大人のための「学び」の教科書とは
東大の人材開発研究で有名な中原淳さんが書いた本です。2018年1月17日発売。
筆者の人材開発研究からわかった大人の学びと成長について、簡単な言葉で分かりやすく解説している本でした。
また、絵や図で理論や概念の構図や関係性が分かりやすく表現されていていいなーと思ったのと、「3つの原理原則」「7つの行動」などの理解度と納得感が高い学びの体系が示されていて参考になったという感想です。
大人の学びが大事(リカレント教育の重要性も叫ばれている昨今)だと思っていたので、興味を持って読んでみました。
読んで学んだこと、感じたことのメモ
本を読んで得た学びを、感じたことと合わせてメモしておきます。
「人は生存不安を高められ、かつ、学習不安が減ったときに学習する」
組織文化研究で有名なMITのエドガー・シャイン教授の見出した、人が変化する(学習するとき)の結論がこれです。
生存不安とは、「このままではヤバイ、変わらなければ、、、」と感じること、学習不安とは、「新しいことを学ぶのは億劫で難しそう、、、」ということです。
確かにそうだなと思います。生存不安は個人的には高い目標を立てたら生まれてくるような気がするのと、学習不安を減らすには、まず試してみる(ダメだったらやめればよい)というマインドセットが重要かと。
3つの原理原則
大人の学びの土台であるOS(オペレーションシステム)となる3つの原理原則について。
背伸びの原理
今の能力では少し難しいが、自分が頑張る、もしくは、他人の助けを借りたら実現できそうなことにチャレンジすること
コンフォートゾーン(快適空間)からストレッチゾーン(成長空間)へと、主導権を持って動く必要があるということですね。
背伸びをするときに何をすれば良いのかのヒントとして、1.楽しみを感じること、2.感謝されることにチャレンジしてみると良いというアドバイスが書かれてありました。
振り返りの原理
過去の自分の行動を見つめ直し、意味づけ、未来で何をするべきかを自分の言葉で語れるようになること
振り返り(リフレクション)のためには、1.What?(過去に何が起こった?どんな出来事だった?)、2.So what?(どんな意味があった?何が良くて何が悪かった?)3.Now what?(これからどうする?)という問いが大事なんだそうです。
この原理の定義は具体的で分かりやすいなぁと感じたので、その実践のためにも、毎週の仕事や人生の振り返りの時間に、この問いを自分に問うてみることにします。
つながりの原理
信頼のおける他人に助言やコメントをもらったり励まされたりと、他人からのサポートを糧にしながら学びを実現していくこと
ちなみに、中原さんの研究(日本企業43社、2,300名のデータ)で、若手のビジネスパーソンはどんな他人からの支援で、仕事においてより良く成長するかの研究結果によると、1.業務アドバイス、2.振り返りの促進、3.承認・励ましが重要という結論に至ったそうです。
振り返りの原理が2番めに入っていますね。リフレクション大事だ。ほんと。
7つの行動
大人の学びのアプリケーションとなる7つの行動について。
タフアサインメント=タフな仕事から学ぶ
いわゆる修羅場経験だと思いました。
また、「大人の学びにとって経験は資本であるから、現代は経験獲得競争社会かもしれない」という考え方は面白く、よって、「いい仕事をしないと、いい仕事はこない」というのはまさにその通りだと感じました。
幹部育成やサクセッションプランを考える中でも、ジョブローテーションや配置をもっと積極的に取り入れていく必要があると改めて感じました。
本を1トン読む
年間の平均通勤時間は425時間のようで、1冊3時間として読むと141冊、1冊400グラムだとすると18年で1トン読める計算になるようです。
本の良さは、完全に同感でしたが、他者の経験や思考を代理学習することであり、そこから、自分の知識の地図を広げ効果的な旅(行動)ができるようになるからということです。
一番パワフルなのは直接経験することですが、圧倒的に時間とお金というコストを抑えつつ、学びを広げられるのは読書なのは間違いないと思います。
人から教えられて学ぶ
社会にはいくつかの学びの場の種類があり、インフォーマル、セミフォーマル、フォーマルを使い分ける必要があるよねということでした。確かに。
越境する
これはもはや当たり前ですね。もっとどんどんやっていかねば。
フィードバックをとりに行く
SBI情報が網羅されていると良いフィードバックになるので、これは日常で取り入れていきたいと思いました。
S=Situation(状況)どこで、どんなときに、
B=Behavior(行動)どんな行動をしたことが、
I =Impact(成果)どんなふうに良かった or 悪かった
場をつくる
自分が学びの場をつくり、交流し、人脈や自分の世界を広げるということです。
教えてみる
教える側も教わる側も対話によって両方が同時に変化成長することが可能という考え方が良いなと感じます。
また、教えることは学ばざるを得ない状況を自分でつくることになるので、そのような機会を沢山設計していくことも、人材開発のキモだなと思いました。
この本を読んで、自分は今から何をするか
まずは、自部門のメンバーに共有しようと思います。
また、3つの原理原則と7つの行動をどう研修や学習する仕組みに取り入れていくかを考えたいので、読了後に部内で感想や具体的な行動変化をコミットする時間をとるもいいなと考え中です。
本で得た学びを日常にトランスファー(学習転移)できるように、何かを変えて行動していきたいと思います。
では、また!