ダニエル・ピンク『人を動かす、新たな3原則』が良書だったのでまとめ。

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ダニエル・ピンク著の『人を動かす、新たな3原則』を読みました。原題は『To Sell is Human (セールスは、人なり)』(訳:神田昌典)です。

発売時にすぐ購入したものの、「なんか違うなー」と思ってしまってしばらくちゃんと読んでなかったけど、最近、理由なく「なんか読みたいなー」と思って読んでみたんですが・・・とても良かったです。なんでもっと早く読んでおかなかったんだッ!と思いました、笑。こんにちは、164(@next164)です。

ダニエル・ピンクとは

1964年生まれで、エール大学で法学博士号を取得後、クリントン政権下でゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた、かなり変わった経歴の作家です。現在は企業や大学での講義、テレビ出演などを行いつつ、『ワシントン・ポスト』『ハーバード・ビジネス・レビュー』『ワイアード』などへの寄稿や、執筆活動をバリバリやってるみたいですね。

著書はすべてベストセラーになっていて、世の中に大きな影響を与えた示唆に富んだものばかりです。

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか
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フリーエージェントという言葉が世の中に拡がるきっかけになった、会社にとらわれない生き方を主張した本。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
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ロジカル・シンキングだけではなく、クリエイティブ・シンキングの重要性を説いた本。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
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今まで当たり前に考えられていた金銭的報酬(外発的動機づけ)よりも、精神的報酬(内発的動機づけ)の方が大切であることを立証した本。

2冊は大前研一氏が訳しているんですね。今回の本は神田昌典氏だし、どっちもビックネームだ。すごい人なんですね。

ちなみにダニエル・ピンク氏を始めて見たのはこのTEDでしたね。上の著書『モチベーション3.0』の内容のプレゼンテーションでした。18分くらいありますが、それを感じないくらいおもしろいプレゼンでしたよ。

『人を動かす、新たな3原則』

2013年7月4日に発売されたこの本。尊敬する経営コンサルタント、作家、マーケッターの神田昌典氏が訳したこの本は、ダニエル・ピンク氏の最新刊にして、なんとセールスについての本でした。

人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!
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過去と今後の時代の違いを根拠にしつつ、セールスはセールスパーソンのものだけでなく、すべての人のものである。という主張を根本にして、「セールスに必要な特質」「セールスに必要なスキル」を各3つのポイントに絞って書いてありました。

買い手と売り手の情報格差が少なくなった現代では、“買い主は気をつけよ”から、“売り主は気をつけよ”の時代になった。というキーワードが何度も繰り返されてたのが印象的です。

また、通常のセールスではなく、「売らない売り込み(non-sales selling)」が増えてきているし、ますます増えてくる、とも。

1.セールスに必要な特質とは

  1. 同調(Attunement)
  2. 浮揚力(Buoyancy)
  3. 明確性(Clarity)

の3つの要素が「セールスに必要な特質」を構成しています。

古い時代のA-B-C(Always Be Closing:必ずまとめろ契約を。)から、新しいA-B-C(Attunement:同調、Buoyancy:浮揚力、Clarity:明確性)への進化をしましょうというわけです。

1−1.同調

同調とは、自分の行為と見解を、他人や自身が置かれた状況とも調和を図る能力、のことです。

同調のポイントは、まず、自分が相手よりも低い位置にいると想定して、人と向かい合うこと。

そして、共感(感情的)と視覚取得(認知的)をちゃんと使って状況判断をすること。特に共感(感じる、心をつかう)より視覚取得(考える、頭をつかう)で相手と自分とその他の人々の相関図をいかに制作できるかがポイントです。

最後に、戦略的に真似する(模倣する)こと。人間味のあるマネをしましょうというメッセージでした。模倣のポイントは、観察する・待つ・控える。

上記以外にも、サンプルケースとしてより具体的なアイデアも沢山紹介されています(ここがこの本のわかりやすさに繋がっているとも思います)。

例えば、

  • アマゾンの会議室に持ち込まれる、だれも座らない椅子の話
  • 自分のタイプを知る方法
  • タイムトラベラーエクササイズ
  • ディスカッションマップ
  • 鏡のゲーム

などなど。

1−2.浮揚力

浮揚力とは、拒絶・拒否・否定などに負けない能力、のこと。心理学でいうレジリエンスと近い概念かもしれません(※レジリエンス(resilience)は「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などとも訳される心理学用語)

浮揚力のポイントは、疑問文形式のセルフトークで自己暗示することと、いかにポジティブ・シンキングができるかどうか、です。ちなみに、ポジティブ心理学の研究によると、ポジティブ:ネガティブは、3:1以上(厳密には、2.9013:1)で、11:1以下であることが重要です。ポジティブだけでもダメなんですね。

浮揚力の向上方法としては、

  • ポジティビティ自己診断
  • オプティミズム・テスト
  • ときにはネガティブになることを忘れない
  • 自分宛てに断りの手紙を出す

などを試してみると良いそうです。

1−3.明確性

明確性とは、見えていなかった様相を明らかにして、置かれた状況を理解できるようにする能力。言い換えると、それまで存在に気づかなかった問題を突き止める能力、のことです。

現代では還元主義的でアルゴリズム的な技術者的問題「解決」スキルよりも、クリエイティブでヒューリスティックな芸術家的問題「発見」スキルが大事というくだりが印象的でした。

明確性を高めるポイントとしては、以下の5つのフレームをうまく活用して、フレーミングしてあげることが重要のようです。

  1. 少ないというフレーム(少ない方が選択できる)
    コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授のジャムの実験
  2. 体験のフレーム(何が体験できるかを伝える)
  3. レッテルのフレーム(レッテルを貼ることの効果)
  4. 傷によるフレーム(欠点が少しあった方が好き。)
  5. 可能性のフレーム(達成より可能性の方が興味を引く)

そして最後に、考え方だけでなく、どのように行動すべきかを示すことで人は動かせるんだとか。確かに仕事でもそうだなと思います。重要性と大事な考え方が分かっても、何をすればいいか、初めての場合はわからないですからね。

明確性は、

  • 非論理的な質問で他人の動機を明らかにする
  • なじみのない経験をする
  • キュレーターになるために、探す・識別する・共有する
  • 質問構築テクニックを試す

などで高められそうです。あとは、ベタですが、「なぜ」を5回繰り返すことも大事ですよ、と。

2.セールスに必要なスキル

次にダニエル・ピンク氏は、セールスに必要な特質を発揮するための「スキル」について3つにまとめていました。

  1. ピッチ(売り込み手法)
  2. 即興(インプロ)
  3. 奉仕

の3つです。

2−1.ピッチ(売り込み手法)

ピッチとは、エレベーター・ピッチに代表される、売り込み手法のこと。今後はそれに変わるであろう新たなピッチを6つ紹介していました。

  1. 一言ピッチ(「検索」といえば、グーグル。「プライスレス」といえば、、、)
  2. 質問形ピッチ
  3. 押韻型ピッチ(韻を踏んだ方が無意識に的確だと思う)
  4. メールの件名ピッチ(有用性 or 好奇心)
  5. ツイッターピッチ(140文字にまとめる)
  6. ピクサーピッチ(ストーリー性)

どの手法を使うにしても、ピッチを準備するにあたっては、

  • 「知って」もらいたいことは?
  • 「感じて」もらいたいことは?
  • 「行動して」もらいたいことは?

という3つの問いに確実に答えられるようにしておくべきだそうです。これは良い問ですね。シンプルで重要な気がします。

1つ面白いサンプルケースとして紹介されていたのが、「ペチャクチャ(pecha-kucha)」です。これは、20枚のパワーポイントスライドを1枚20秒間で自動に進める設定をしておき、それに合わせて合計6分40秒でピッチする方法です。

これは面白いなと思ったので、職場でもやってみようと思いました。

2−2.即興(インプロ)

セールスは演劇と共通点が多い、というダニエル・ピンク氏の気づきから、これからのセールスには即興劇の手法を取り入れることが重要であると述べています。

確かに、台本をきっちり演じる演劇と、スクリプトやロープレ通りにセールスすることは似ていますもんね。ただこれは、これまでの時代では通用していた方法であるということでした。

即興(インプロ)を成功させるための構造として、

  1. オファーを聞く(すべてを受け入れる)
  2. 「Yes, But 〜」ではなく「Yes, And 〜」
  3. パートナーを引き立たせる(ゼロサムではなくWin-Win)

の3点が重要です。ちなみに即興劇のプロ達はテレパシーを使っているかのように、最初からすべて決まっていたかのように演じることができるらしいです。

2−3.奉仕

奉仕とは、セールスの最終的な目的は、商業の世界を越え、他人の人生を向上させ、世界を向上させることだ、という視点で考えましょうということ。

そのためには、人間味をもたせること、と、目的をもたせる、ことが重要なのだ!ということでした。

また、ロバート・グリーンリーフの唱えた「サーバント・リーダーシップ」もキーワードとして取り上げられていました。人を動かす人は、巧妙に操るのではなく、まず奉仕し、売ること、つまり、「サーバント・セリング(servant selling)」をしましょうということです。

通常のセールスでも、売らないセールスでも、人を動かすにあたっていつも考えておくべき、真のサービスの核心となる2つの問いを覚えておきたいと思います。

  1. 自分の売り込むものを相手が受け入れると承諾した場合、その人の人生は向上するだろうか?
  2. このやり取りを終えたとき、世界は当初よりよいところになるだろうか?

まとめ

だいぶ長くなりましたが、まとめてみました。良書だったので、まとめが長くなったのも、学ぶところが多かったということですねー。

具体的なアイデアも豊富に盛り込まれていて、考え方を押し付けるだけではなかったので、日常への応用に向けてかなりイメージがつきやすかった気がします。

「ペチャクチャ」だけでなく、考え方や具体的な行動を、仕事の中に積極的に取り入れていこうと思います。取り急ぎ、この本の学びを周りの人に共有することにします。同調明確性に気をつけながら、奉仕の心で、有効なピッチを使って。笑

・・・にしても、NLPの要素かなり多かった。ダニエル・ピンク氏も絶対学んでいるんだろうな、と思いました。

人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!
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では、また!

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こんにちは!164マーケティングの164です。
人材開発/組織開発/心理学(NLPなど)/脳科学/ファシリテーション/Webマーケティング/ゲーム/漫画/バスケ/芸能ネタなど好奇心のおもむくままに書いております。