人事制度などが有名なサイボウズの副社長 兼 サイボウズUS社長の山田理さんの評価制度についての講演内容が非常に参考になったのでメモ。サイボウズでは、給与制度を一般的な階層の定義と照らしあわせて決めることをやめたそうです。
サイボウズの給与制度について
サイボウズの給与制度は大体2〜3年毎に変わってきたみたいですね。社員からすると大変だと思いますが、ベストなものを目指すための試行錯誤としてはすばらしいなと思います。無思考の現状維持よりはよっぽど生産的。
下記のようにチャレンジをかなりのペースで繰り返した結果、
(出典:http://www.huffingtonpost.jp/cybozu/post_10660_b_8716500.html)
現在は、
給与は「社外/社内の価値」の2軸で評価する
というやり方にしたそうです。
よくある階層別の定義に基づき決定するという方法をすでに捨てているんですね。さすが進んでる会社は違うな―。
ちなみに、給与評価のステップは、
- 社外的価値の評価 → 金額レンジの決定
- 社内的価値の評価 → 給与額のイメージの決定
- 最終的な給与の決定(評定会議にて)
というもの。
社外的価値
社外的価値は、「転職したらいくらもらえそうかという金額」で、その人が転職市場でどれくらいの値段が付くか?ということから、給与の金額の幅(レンジ)を決めていくそうです。
30歳課長ならこの業界ならこのくらいとか、IT系の大企業で40歳部長ならこのくらいの給与水準だよねとか。
株価のようにある程度適当に決まるという価格決定の原理を掴んだ非常に客観性と納得性を持つ考え方じゃないかなと感じました。
社内的価値
社内的価値は、サイボウズでは「社内で信頼度が高い人」であり、それは「覚悟×スキル」で測るんだそうです。
覚悟はサイボウズへのコミットメント。会社に対してどれだけ尽くせるか、理想への共感度が高いか。
ということで、この「覚悟」に各人の「スキル」を掛けあわせて評価しているそうですが、
「抜けられたら困る」という人にはプレミアムがつくような「社内需給」や経験年数や同職種のバランスなどを考慮する「社内相対感」などを加味
という多少の調整もあるみたいですね。
あと、業績は加味しないらしいです。
社内的価値については会社によってそれぞれだとは思いますが、スキルや実績だけでなく、覚悟などの軸も取り入れているのが良いと思いました。GEでも業績だけでなく、バリュー実践度を掛けあわせて評価する9ブロックが評価制度になっていますしね。
社外×社内で評価するということ
社外的価値(市場価値)を大きく取り入れていることがすごく新しく面白いと思いました。確かに、客観的な納得感も得られるし、外を知る機会にもなって自立を促せるし、給与制度の納得感という点だけでなく、人材開発の観点からも適したやり方じゃないかと感じました。
もちろん、給与制度だけでなく、社内のその他のいろんな制度や仕組みが連動してなきゃ大きな成功にはつながらないとは思いますけども。
評価は目的から考えるべき
会社によって目的はさまざまだとは思いますが、目的を明確にもって「評価」をしている会社は少ないのではないかと改めて思い至りました。
評価なんかされたくもないし、したくもないにもかかわらず、会社としては評価をしないといけない。それってなんでなんだろう?
という問いから、行きついたみたいですね。
サイボウズが辿り着いたのは、評価の目的は「成長サポート」と「給与決定」ということだそうです。
これが明確になっているからこそ、前述のような評価制度も生み出せたんだろうなと感じました。
マネージャーは「成長サポート」のみ
ふむふむ!と感心した具体的なやり方の一つが、マネージャーは給与は決めないということです。
マネージャーたちから上がってきた社内的価値と、社外的価値を加味して、評定会議という場で決定するみたいですね。
これは、マネージャーの役割は、成長のためのフィードバックをしっかりすることと決めており、
なぜその給与にしたのかという決定のプロセスをいかに説明できるかが重要
という考え方があるからです。
運用はつねに試行錯誤中とは言っていましたが、メリハリのあるやり方だなと感じました。
評価制度の改革に活かしたい
このサイボウズの取り組みはすごくヒントが得られて学びになりました。今後の自社のやり方に取り入れて行きたいと思います。
参考:サイボウズの給料は「あなたが転職したらいくら?」で決めています(前編)
参考:社内評価だけで給料を決めるのをやめたら、多様な働き方が実現できた(後編)
文中にあったこの言葉、すごくいいと思いました。そんな組織にしたい。
サイボウズに新卒で入って来た人たちに、「まずは君たちにサイボウズを辞められるようになってもらいたい。いつでも辞められる君たちが、それでもサイボウズで働きたいと言ってくれる会社にしていきたい」って伝えているんです。
では、また!