日本GE株式会社の人事部長である木下達夫氏による講演「ビジネスリーダーを輩出し続けるタレントの見える化と活用」が学びになったのでメモ。GEの9ブロック評価の仕組みを自社にも取り入れてみようと思いました。こんにちは、164(@next164)です。
日本GEの人事評価制度
「HRサミット2014」にて、日本GE株式会社の人事部長木下達夫氏による講演がまとめられている記事を読み、学びがあったのでメモしておこうと思います。
講演タイトルは、「ビジネスリーダーを輩出し続けるタレントの見える化と活用~ビジネスパートナーからタレントマスターへ~」です。
「セッションC」から始めよ
優れた人材を適材適所に登用するための人事の仕組みのことです。
「セッションC」
個人の評価はもちろん、該当組織が必要としている人材はどんな人材か、またそれは今在籍する人材とギャップがあるのか、あればどう埋めていくのかを明らかにする仕組みです。
このセッションCの中で活用されているのが、有名な「9ブロック」という評価制度です。
「9ブロック」とは
GEの人事評価制度「9ブロック」は、「業績」と「バリュー」の2軸のレベルをそれぞれ3段階ずつに分けた9マスの中に社員名をプロットしていくというものです。
シンプルで良い評価制度だなーと思います。「業績」×「バリュー」を2軸として、両方を重視するという意志が明確に感じられます。
GEの場合、バリューは「Growth Values」としてまとめられているので、横軸はその価値観に当てはまるかどうかが評価されるということですね。
※ちなみに、これがGEのバリューです。↓
そもそも、社員が大事にする価値観(バリュー)が明確に決まっていないと、9ブロックでの評価はできなそうですね。
「9ブロック」の導入にあたって注意する点
「9ブロック」の仕組みを自社に導入するにあたって、ポイントになりそうだなーと思った点は2つありました。
それは、「アナログ」と「手放す」です。
スコアリングはアナログで
ムリに定量的なスコアリングをせず、アナログに任せているという点が1つ目のポイントかと思いました。
9ブロックの評価を点数化せず、アナログでやるということです。
例えば、
・『パフォーマンスは可もなく不可もなくですが、どんなことも率先して挑戦するし、組織のロールモデルになっています。部下や他部署からの信頼も厚いです』
・『AさんのほうがBさんよりも、ほんの少しバリューが高い』
という感じで決めていくそうです。そして、セグメントを変えながらいくつも位置づけ(評価)していき、最終的には相対的に納得感のあるものになっていくんだとか。
GEほどの圧倒的なグローバル企業でも、評価はアナログを重視しているっていうことが、イメージギャップがあり印象に残りましたが、同時に、良いなとも思いました。
デジタルデジタルしすぎてもなんか本質からズレそうなので(ただの個人的意見ですが)。
手放す勇気
もう一つの導入の際のポイントだと思うのは、優秀な人材を囲い込まないということです。
9ブロックの右上の「ベスト」には5%くらいしか当てはまらないらしいのですが、そのような未来のリーダー候補人材を、自部門に囲い込まず、手放すことを、GEではルールにしているそうです。
GEの人事は、このような優秀な部下を抱える現リーダーたちに対して、この1〜2年の異動について考えさせるそうです。優秀な部下を育てるためにどんなチャレンジングな経験を積ませるべきか考えろ!ということですね。
この異動が、優秀な人材のリテンションにもつながるそうですし、また、次世代を育てておかなければ優秀人材が抜けたときに自部門が困るため人材育成の仕組みが育つ、などの良い効果を引き起こすそうです。
確かにそうだなー。すごくいいサイクルですね。深く考えられていると思いました。
まとめ
業績だけではなく、バリューをバランスよくもつ人物を評価する「9ブロック」という制度ですが、非常に共感できます。
自社に取り入れていきたいので、「アナログ」と「手放す」の全社員への土壌づくりから始めなきゃとは思いますが、進めてみようと思います。結構みんな定量好きだし、手放すの苦手だから困難そうな感じはプンプンしますけど、、、笑。がんばろう。
・・・
※木下氏ではないですが、この本でもGEの人事制度がいろいろ書かれてあって、今回の学びと合わせて参考になりました。
戦略人事のビジョン 制度で縛るな、ストーリーを語れ (光文社新書)
では、また!
追記(20150528):
GEが9ブロックをやめるようですね……
→ GE、9ブロックやめるってよ。その理由と次の評価制度(人事制度)へ