クレイア・コンサルティング株式会社のブログでまとめられていた「組織社会化」の防止策についての記事(元記事はMIT Sloan Management Reviewから)が学びになったのでメモ。4月から組織社会化に向けた新入社員研修が多くの会社で実施されますが、その前に読んでおけてよかったです。
組織社会化とは
新しく組織に加わったメンバーが、組織の目標を達成するために求められる役割や知識、規範、価値観などを獲得して、組織に適応していくプロセスのこと
日本の新卒一括採用文化の中では、4月から卒業したばかりの新卒たちは、一気に「組織社会化」の波にもまれ始めるわけです。
企業側としても、新入社員教育の一環として、4月の頭にはほぼすべての企業で研修が実施されることでしょう。
大抵の会社では、自社の目指すビジョンや価値観・考え方などを伝え、基礎知識とスキルを覚えさせ、新卒たちをできるだけ早く戦力化しようと努力します。
これは企業側からすると当たり前のことだし、大事なことだと思います。
組織社会化の弊害
しかし、一方で、個人の独自性を無視し、組織に従属させてしまうことにもつながるため、社会組織化を推進することで、精神疲労や職務への不満足を引き起こしてしまうという議論もあるそうです。
もちろん、そうならないように採用の段階ですりあわせておくことが重要なんだろうなーとは思いました。
一つの事例として、インドのITサービス大手ウィプロ社のグループ会社では、新入社員研修において、14週間もの研修をきっちりやるにもかかわらず50〜70%の離職率だった状況を改善し、32%も減少させることができたそうです。
その方法とは、強みを最大限生かせるように会社を個人の強みを活かすプラットフォームとして活用するように教育・支援することでした。
例えば、元々社交的なコックであればホールに出てお客様と接するようにしたり、芸術的センスのあるコンサルタントであればデザインテンプレートの制作にアサインしたりということらしいです。
しかも、このやり方を最初から適応するということが大事だと言ってました。
日本では昔からよく言われる「守破離」とは違うので違和感があります……これだと最初から「破」や「離」ということになる気がするのでね。
ただ、これも今までの日本企業という環境で育ってきた僕が抱えている固定概念なだけだとも思うので、チャレンジしてみてもいいのかなと思いました。
そんなチャレンジのための4つのコツも書かれてありましたのでメモしときます。
新入社員教育を成功させる4つのコツ
一つ目はこれ。
1. Break out of the traditional employment trap. / 伝統的な雇用の罠から抜け出す
前述したように、今までのやり方に固執せず、柔軟に新しいやり方を試してみると良いということでしょうか。
「仕事なんだから、いいからやれ。」というマネジメントは通用しないということですね。
そして、2つ目はこちらです。
2. Help newcomers identify their authentic strengths. / 新入社員がもつ強みを一緒に明らかにしていく
会社を自分の強みを発揮するプラットフォームとして活用するためには、確かにこのプロセスが必要です。
採用判断のためのアセスメントはやってる会社多いと思いますが、強みの診断に活用できている会社はほんの一部でしょうね。
現在自社で開発中の心理学と連携したアセスメントは、ここに活用できそうな気がしてきました。楽しみ。
続いて、3つ目はこんな内容でした。
3. Facilitate introductions to other organizational members. / 組織の他のメンバーも新入社員と関わらせる
採用プロジェクトの一環としては、結構いろんな社員に関わってもらっているとは思うのですが、もっと入社後も他部門の社員と新入社員がからむ場(機会)を創造していった方がいいんでしょうねー。
最後はこれ。
4. Ask newcomers to consider how their authentic strengths can be applied to the job. / 新入社員に自身の強みがどのように仕事に応用できるかを考えさせる
個々人に、自分の強みと組織がどう関係しているのかをしっかり考えさせることで、日々自分が取り組む仕事・業務に意義が見いだせるようになるということだと思います。
これは「個人の成長と会社の成長の関係について考えた」に書いてある「MUST・CAN・WILLの輪」の話と似ている気がしました。
組織と個人のすり合わせを以下にちゃんとやってるか(教育としてやらせているか)が、組織社会化の成功と失敗の分かれ目になるのかもしれないと感じました。
新入社員の成長の最大化のために、この4つのコツを踏まえつつ、できる準備と支援はしっかりやっていきたいと思います。
では、また!