『タレントマネジメント概論』まとめ。これからの時代のマネジメントの参考に

組織開発

タレントマネジメントとは何だ!?と思ってポイントを整理した【第1弾】」で紹介していた本『タレントマネジメント概論』を読了したので、上記エントリにプラスαとなる学びをまとめてみました。今までタレントマネジメントの概論本はあまりなかったので、その歴史・背景や定義的なものを勉強するには適した本だと思いました。

ASTDからATDへのチェンジ

まず、これは本からではないですが、最近知った関連する(かもしれない)話。

世界的に有名な人材開発・組織開発・トレーニング等に関する組織であるASTD(American Society for Training & Development:米国人材開発機構)が、2014年の大会にてATD(Association for Talent Development:タレント開発協会)とブランドを変更することを決めたらしいですね。知らなかったー。

このような世界的な組織も、時代の変化を受け、今、タレントというワードを中心とした組織に変化していこうとしているんだなーと感じました。71年続けてきたブランド(組織名など)を捨て、新しいチャレンジをしていこうという大きな覚悟みたいなものを感じました。

参考:ASTD の新しい名称 | The Association for Talent Development

『タレントマネジメント概論』

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タレントマネジメント概論—人と組織を活性化させる人材マネジメント施策

1回目読了しました。

書籍タイトルのように、タレントマネジメントについて背景や定義、周辺事実などが書かれてあり、まさに概論として初学者に分かりやすい本でした。点で知識があっただけの、ぼやーっとしていたタレントマネジメントのイメージが、つながってきた感覚を覚えました。

特に学びになったところを忘却防止のためのまとめておこうと思います。

用語の定義

まずは、言葉の定義について。

タレント
従業員個々人が持っている能力、実績、経験や将来に持ち得る能力(潜在能力)のこと
エンゲージメント
約束・契約、つながり、親近感=「会社に対する愛着心」
・会社と従業員が対等でかつ良好な関係=エンゲージメントが高い
・業績と相関関係あり
・理性よりも感情がエンゲージメントを促進する

エンゲージメントがようやく頭にスッと格納された感じです。要は会社への愛着心ってことね。

タレントマネジメントの歴史

前回のエントリでもすこし書きましたが、より詳細をまとめました。要は、「仕事が先、人が後」の時代から、「人が先、仕事が後」の時代への変化をしているということです。

  1. PM(パーソナル・マネジメント;人事労務管理)
  2. HRM(ヒューマン・リソース・マネジメント;人的資源管理)
  3. HC(ヒューマン・キャピタル;人的資産)
  4. TM(タレントマネジメント)

PMは高度経済成長期(1950〜1970年代)で、HRMは低成長時代(1980年代)の考え方です。HCがゼロ成長・マイナス成長時代(1990年代)、つまり、バブル崩壊後の時代の考え方と言われています。そして、TMがこれからの時代の考え方であるということですね。

3のHCまでは、「仕事が先」の時代でしたが、下記5つの理由から、「人が先」、つまり、タレントマネジメントが必要になっているようです。

  1. 人口構造が変化による労働人口の減少→少数精鋭での対応が必要
  2. サービス産業の隆盛→人出不足
  3. 情報産業・IT化の急伸→個人の発言力UP
  4. グローバル競争
  5. ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス、トータル・リワード等が浸透→個別対応が必要

つまり、人材の「量」ではなく、「質」を前提としたマネジメントへの転換を迫られているということですね。

タレントマネジメントの4つのフェイズ

では、タレントマネジメント(TM)を進めていくためにはどのような段階(フェイズ)があるのか?ということですが、以下の4つをぐるぐると回し続けることが大事だそうです。

  1. 設計:TMの全体像を設計(またはメンテナンス)する
    ・短期の目線:人材の適正配置、社内コラボレーション、など
    ・中長期の目線:キャリアデザイン、サクセッションプラン、など
  2. 活用:タレントの利用および育成を行う
  3. 開発:タレントの開発を行う ※2のサブフェーズ
  4. 運営:タレントマネジメントの仕組みや取り組みを実行する

「設計」の成功には目線や目的が重要で、短期・中長期の時間軸と個人・組織の対象軸をマトリクスにして目的を考えると良いそうです。

「設計」フェイズでどこまでこだわって、調べて、現場を理解しながら組み立てていくことがかなり重要だと思いますが、結果出来上がったとしても、「運営」でコケると全く意味が無いので、運用をいかに徹底してやるかということも意識をしておかねばと思いました。

収集すべき情報

タレントマネジメントにおいて収集すべき情報についても項目が整理されていました。

例えば、履歴書・入社時面談情報・学習履歴評価レポート・取得資格・評価結果・異動履歴・適性結果・賞罰履歴・昇降格履歴・給与支給履歴・キャリアプランなどです。

一つ学んだポイントとしては、タレント情報は「入社」「異動」「昇降格」など数多くある人事・組織上のイベントにあわせて収集するということです。

情報を集めるためだけに現場にアンケートやインタビューを依頼して負担をかけ過ぎないように、各イベントで自動的に収集できる仕組み(システム含む)を考えるべきということですね。

その他

あとは、タレントマネージャー(情報を収集する人)は人事担当だけでなく、各部門の幹部がなることも多いので、役割分担をしつつ、連携をしっかりとる仕組みが大事であると図解されてました。

その中で、人事は特に意識して未知の開発すべきタレントの把握につとめるべしという言葉が印象的でした。

まとめ

本を読んで、改めてですが、これからの時代に対応していくためにも、人材の「質」を前提とした「タレントマネジメント」を意識して、人材開発・組織開発を行っていかなければならないと思いました。

タレントマネジメントというのは、何かの取り組みというよりかは、様々な取り組みを考えたり実施したりする際に常に持っておくべき価値観・考え方というふうに捉えるとスッキリする気がします。

引き続き、この周辺の情報はしっかりインプットしながら、まずは自分の周りの会社や関わる人達によいアウトプットができるよう、勉強と実践を繰り返していきたいと思います。

……というわけで、人事だけでなくマネジメントに関わる人なら学びはあると思うので、興味あれば読んでみたらよいのではないでしょうか。

タレントマネジメント概論—人と組織を活性化させる人材マネジメント施策
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では、また!

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