元東大総長の小宮山宏さんが提唱した、先進国が今後どういう社会を創っていくべきかという「プラチナ構想」が学びになりました。その中にあった21世紀のパラダイム、言い換えると、今後の本質的な問題だと思いますが、3つに集約されるということでした。
プラチナ構想とは→プラチナ構想ハンドブック
21世紀のパラダイム
今後、人類が滅亡を回避し生き残っていくためには、いろんな問題を解決していかなければいけないわけですが、小宮山さんの提言では、3つの基本的枠組み(パラダイム)について考え、対応していくことが重要であるとのことでした。
有限の地球
1つめは「有限の地球」です。
人口の増加などによる資源の消費の膨張・拡大によって、もし、現在、人類がアメリカ人並の生活をした場合、エネルギーで10.5億人、食料で30億人までしか支えられないと言われています(原子力安全基盤機構の資料より)。
省エネルギー化が進んでいる日本人並みの生活であっても、エネルギーで21億人、食料では50億人までが限界だそうです。
「地球の資源は無限ではなく有限である」ということを自覚し、一人ひとりが行動しなければならないということです。
最近、この手の話をいろんなところで聞いていたので、さらに自分の中の意識が増した気がします。再生エネルギーの議論などもずっと前からされていますが、こういう話を知るにつれ、理解が進むように思います。
高齢化する社会
2つめは「高齢化する社会」です。
人口増減と経済発展や停滞は密接に関わっているという話はよくありますが、人類は多産多死から少産少死の時代への大きな人口シフトが進んでいっている状況です。
この流れの中で、労働力人口(15歳〜64歳くらい)が沢山いる時期を「人口ボーナス期」と呼びます。この時期には経済が活性化すると言われています。
日本は1970年代にすでに終わっている人口ボーナス期ですが、地球規模でも21世紀の中頃には終わりが来る予測なんだそうです。特に高齢化先進国の日本ではいろいろと議論されていますが、世界も同じなんですね。
消費する人も、働く人もいなくなってしまう社会って、怖いですなぁ……。
参考:短時間勤務をすべき理由!小室淑恵さんの人口ボーナス期・オーナス期の話
知識の爆発
3つめは「知識の爆発」です。
メディアが電子化やインターネットの普及などにより、情報は爆発し、時間的制約からその一部しか読むことができなくなっています。
例えば、情報流通量は2001年から2009年までの間に71倍に激増しているにもかかわらず、ユーザーが消費した情報量は同じ8年間で、2.5倍にしか拡大していないらしいです(総務省調査より)。
今後も、引き続きセンサー技術が発達し、またそれを享受するデバイスも増え、バーチャルリアリティ(VR)やIoTなども拡がってくると予想できるので、情報量はますます拡大し、それにともなって知識も爆発していくと考えられています。
この問題の解決には、増え続ける情報(知識)をどう整理・理解して活用していくかが重要になっていきます。
分野を越えた横断的な「知識の構造化」により解決していくという動きが研究の世界でも始まっているようです。
知識の爆発はチャンス
ただ、この知識の爆発は、上手く活用することができれば、他の問題(「有限の地球」「高齢化する社会」)を解決できる可能性を秘めているということが大事なところです。
情報がテクノロジーの発達を促進することで、高齢者の介護が楽になったり、そもそも高齢者が元気に働けるようになったり、また、エネルギーや食料の効率的な生産や消費が可能になるかもしれないからです。
まとめ
「有限の地球」「高齢化する社会」「知識の爆発」という3つの本質的な問題を認識できました。
プラチナ構想の提言の中では、その解決のための対策についても7つほど書かれてありました。
ただ、これらの問題に、個人としてどう対応していくかと考えると、問題が果てしなく大きく、何をすればいいのか迷う部分も正直あります。
小宮山さんの提言に賛同した人や組織がプラチナ構想ネットワークというものをつくって動いていたりするようですが、とりあえず、僕は自分の周りの仕事や生活の中で、ひとつずつ意識して、行動を変えていくことから始めてもいいのかなと思いました。
例えばまず、今の仕事が、この3つの問題を解決することに繋がっているのか、考えてみたいと思います。
では、また!