グロービスのコンサルタント池田章人さんの分析が腹に落ちたのでメモ。管理職が人材育成をできないと言われている理由を分析してくれています。
人材育成ができない理由
池田章人さんの記事では、人材育成力不足のポイントとして、下記の4つがあるのではないかと言ってました。
- 上司から育てられた経験の不足
- トップダウン文化
- 育成の時間が取れない悪循環
- 人材マネジメントシステムの形骸化
また、大前提として、多くの会社ではマネージャーら管理職の人材育成力を上げるため、研修等で育成の方法や型を学んだり、疑似体験(ロールプレイング)を実施して身につけようとするが、日常に戻るとなかなか学びを生かしきれていない(行動変化が維持できない)という現状があります。
つまり、上記4つのポイントは、安易な研修ではなく、別の観点で人材育成力を向上させるためのポイントになり得るそうです。
上司から育てられた経験の不足
一言で言うと、自分が育てられた経験がないから、自分も部下を育てられない、もしくは、そのモチベーションが生まれないということです。
マネージャーたちは、育てられたわけではなく、自身の頑張りで成長し、そのポジションを得たという感覚は持っていると思われるため、部下に対しても自己啓発のみを求めてしまうのだと思います。
僕は、育成のキモは、自分が例えば10年かかって身につけたものを、いかに部下や後輩には5年で身につけさせ、さらに成長してもらうかだと思っているので、このようなスタンスをマネージャーたちに教育するところからもっとやった方が良いのかもと思ってきました。
また、全く逆ですが、自分が育てられず苦しかったから、後輩や部下はちゃんと育てて上げようという気持ちが強くなりすぎて、逆に甘やかしてしまうことになっているケースもあったりするので、これはこれで考えなければならない課題だったりします。
まぁ、まとめると、マネージャーには人材育成の方法より前に、人材育成の必要性の理解・納得のところから育めるような施策を打ち、「育成しよう!」と思わせないと始まらないぞ、ということですね。
トップダウン文化
これは非常によく分かるのですが、トップダウン(指示的)なマネジメントが、部下の考える力や主体性を奪ってしまっているということです。
つまり、考える力を身につけさせ、主体的に行動できる人材を作ることが人材育成の目的だとするならば、トップダウンの文化は人材育成とは逆行しているわけです。
ただ、企業の戦略や業績を効率良く達成していくためには、トップダウンでスピーディーに意思決定をして業務を進めた方が良いことも分かりますし、難しい問題だとも思います。
全員が自ら考え主体的に行動できる組織が理想だと個人的には思ってますが、なかなか難しいことなので、一般的にはバランスをとって、対象者を分けて育てていくということも必要なんだろうなーとも思います。例えば、幹部候補だけには特別な訓練をするとか。
でもやっぱり、理想を目指したいなー。
日々のマネジメントのバランスを見直すように自分も意識し、周りにも働きかけていかないといけないなーと思いました。
育成の時間が取れない悪循環
人材育成に目を向けられない理由の大きな一つは、シンプルに、時間がとれないからということらしいです。
その理由は、マネージャーもプレーヤーとして数字を持ちながらマネジメントをしなくてはならないことが多く、また、世の中のスピードもどんどん早くなっているため、スピーディー&タイムリーにいろんなことを実行していかないといけない状況があるからです。
これはすごく良く分かります。自分の経験を振り返っても、全く時間が無かったし……。
時間が無くて、部下が育ってないから、仕事を任せるわけにもいかず、マネージャーが自分でやらざるを得なくなり、さらに時間が無くなって……という負のスパイラルに陥っている状況が多いんじゃないかなーと思いますね。
これも対策は同じですが、無理矢理でも時間をとって人材育成をしなければならないわけです。このときに重要な考え方として、単純ですが、重要度と緊急度のマトリクスがあるのかなと思いました。
つまり、重要だけど緊急じゃない人材育成に時間を費やしておくことで、結局、緊急で重要な案件が発生したときに対応できる人材が育っていて、トータルで考えたときにはより大きな成果につながるという状況がベストなわけですからね。
目の前の業績も超重要ですから、なかなかこの辺のバランスは難しいところですが、伝え続けていかないといけないところだと改めて思いました。
中長期的な、人材育成の成果を数値でシミュレーションできるようなツールがあれば話早いんだけどなー。
人材マネジメントシステムの形骸化
最後のポイントは、MBOなどの目標管理制度の形骸化です。そのような精度では、「部下のキャリアプラン」や「チャレンジ課題」などを考える欄があるが、それがかなり抽象的で、シートを埋めればいいという感じになってしまってることも多いそうです。
目標は大事だと思うので、それがふわっとしてたら、人材育成にもつながらないでしょうからね。
より具体的に、より部下が主体的に考えるような、そしてその目標を上司と部下でしっかりすり合わせておくことが重要で、さらには、その具体的な目標に向かって全力で走れるようにプロセスをサポートしてあげることが、人材育成(部下の成長)につながるんだろうなーと思います。
考えたこと
いろいろ考えてみて結局思ったのは、人材育成についてだけではないことだと思いますが、重要なのはいかにモチベーションを上げることなのかな、ということです。マネージャーも部下も。
「部下を育てよう(人材育成しよう)!」というマネージャーのモチベーションもそうですし、人材育成の受け手である部下の「成長しよう!」というモチベーションもです。
そのキーは、トップダウンの文化を突破して、いかに自ら考える環境を作れるかかなーと思っています。ダニエル・ピンクさんの「モチベーション3.0」という著書にも、内発的動機づけ(モチベーション)には自律性(オートノミー)が重要な要素の一つであると書かれていましたしね。
自分が育てられていないし、トップダウンの強い文化の中にいて、部下と向き合う時間もないマネージャーに対して、人材育成に対するモチベーションを上げるためにはどうすればいいのか、引き続き考えていきたいと思いました。
では、また!