光文社新書で発刊された田坂広志さんの新著『人間を磨く』という本を読みました。いつもながら田坂さんの本はシンプルで読みやすく、かつ、本質的な学びがありましたので頭に残るように自分なりにまとめてメモメモー。
『人間を磨く』田坂広志 著
2016年5月20日発行の新刊です。田坂広志さんの本は好きなのでいくつか読んでますが、この本もおもしかろかったです。
「人間を磨く」という誰もが根本的には惹かれているであろうことに対して、どのように考え行動するのが良いかを、考えさせられ、大事なアドバイスをもらえて気になれる本です。
田坂さんの本の良いところは、個人的に思うのは、
- シンプルなところ
- 本質的なところ
- 問いが多いところ
です。
まずシンプルで分かりやすい文体で書いてあること、また、文章の中で問いかけが多く、読み手を考えさせた上で、本質的でシンプルな自分なりの答えを(体験談をもとに)示すという書き方をしてることなどが田坂さんの本の特徴かなと。
この特徴が、田坂さんの本は個人的に心に刺さる本が多い理由なのかもしれないと感じています。本質的で、シンプルで、自分で思考した結果、大事な学びが得られる。これ最高。
今までの中だと、『人生の成功とは何か』という本は衝撃的でした。僕の人生にすごく影響を与えています。毎日何かにチャレンジして、全力で生きていこう!と思える本です。
『人間を磨く』の内容メモ
田坂さん曰く、人間を磨くための、人間関係を好転させる7つの技法がこれらです。
- 心の中で自分の非を認める
- 自分から声をかけ、目を合わせる
- 心の中の「小さなエゴ」を見つめる
- その相手を好きになろうと思う
- 言葉の怖さを知り、言葉の力を活かす
- 別れても心の関係を絶たない
- その出会いの意味を深く考える
一つ一つの説明はぜひ本を読んでみてください。
この『人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」』は今まで読んだことのある本の中では、田坂さん自身の体験談が多く含まれていて、イメージしやすくなっていた気がしますね。
以下に心に響いたポイントをメモに残しておきます(本そのままの表現ではなく、僕が要約した内容もあり)。
人間を磨くということは、人生の経験を通じて、自分という人間を成長させ人間力を高め続けていくこと
古典から学ぶときに重要なのは、理想的人間像を知ることではなく、具体的修行法を学ぶこと
理想的人間像を知ることが好きなので、個人的には「ハッ!そうだよな」と思わされたので、両方必要だなという結論になりました。
また、具体的修行法のベストな場は、日常の仕事や生活における「人間関係」であり、その際に心得ておくべき上記の7つの技法があるんだよというわけです。
我欲や私心を否定しない
心の中の「小さなエゴ」は捨て去ることはできないから、静かに見つめてみることが大事だそうです。なるほど。
参加者一人ひとりに対して、心の中で「ありがとうございます」と唱える
田坂さん自身が、社内の会議や営業のシーンなどで、始まる前に心の中で感謝の言葉を言うことを習慣にしてきたそうです。
ポジティブ感情の中でも強力な「感謝」のパワーをしっかり分かってるんだなと思いました。
ぶつかり、心が離れ、なお、それを超えて、深く結びつく人生を
人間関係は、人とぶつからない人生、心が離れない人生より、ぶつかりを超えて人間関係が深化する人生の方が良いという話です。
自分の姿を無意識に正当化しようとする
自己嫌悪や他者不安を消すために、自己正当化や自己防衛が行われるということ。これが人間関係がこじれていく心理的プロセスであると述べられていました。そのとおりだなー。
自分に本当の自信がないと、謙虚になれない
この言葉は心理学者の河合隼雄さんが言ってたそうですが、自信が無いから謙虚でいられるということではないそうです。
また、世の中の一般的には成功したと思われる経営者などが謙虚さを持っていないことがある理由でもあります。競争で勝ち続けて得られる自信は本当の自信ではないということです。
本によると、謙虚さとは、自分の非や欠点や未熟さを素直に認められることであり、それらを克服しながら成長していこうとする姿勢だそうです。
で、そのときに大事になるのが、「自己責任」という考え方です。本の中では「すべて自分自身の責任として引き受けること」と表現されています。
謙虚さ=(自分を知る+自己変革)×自己責任の姿勢
ということかなと考えてみました。
本来、欠点は存在せず、個性だけが存在する
「発酵」も「腐敗」も微生物が有機物質を分解する性質であることは同じなのに、人間にとって有益なものを「発酵」と呼び、有害なものを「腐敗」と呼ぶという定義があるそうです。おもしろい!
つまり、「人間中心」の視点で見てるだけで、性質は同じということなわけです。
したがって、人間の長所と欠点を論じるときにも、「自分中心」の視点でみていませんかという話でした。個人的に分かってるよという内容だったものの、このように説明されるとより納得感が増しましたね。
「愛情」の反意語は、「憎悪」ではなく「無関心」である
どれほどこじれた人間関係でも、将来の和解の余地を残すという姿勢をもつ
10年を超えて部下と和解した田坂さんの体験談が書かれていましたが、この姿勢をもっておくこと、あきらめずにいつか良くなるという姿勢を持ち続けることは、個人的な実体験としてもすごく大事だと思えることがありましたし、今後も大切にしていこうと思っています。
人間を磨くとは、心の鏡を磨くこと
心のエゴによって曇ってしまわないように、自分や他人や物事をありのままに見ることができるようになろうというメッセージでした。
以上、読むときに端を折ったページ(覚えておきたい内容があったページ)のポイントをまとめました。心をスッとさせたいときは田坂さんの本はいいですね。また、読み返したいと思います。
では、また!