Kindleなどで読む電子書籍は、本よりも著しく記憶が劣ってしまうという研究結果があるようです。学校などの教育にも電子教科書などが流行っていこうとしている世の中で、マズイ結果ですね・・・こんにちは、164(@next164)です。
電子書籍と本の記憶量の差の研究
ノルウェーのスタヴァンゲル大学の研究者であるアン・マンゲン(Anne Mangen)氏の研究では、電子書籍の方が本よりも著しく記憶量が少ないということがわかったようです。
Kindle組とペーパーバック組で2組に分けた被験者に、短編小説を読んでもらった後、記憶テストを行った結果だそうです。
面白かったのは、登場人物や場面設定などは同様に覚えていたものの、物語の(イベントの)順番を思い出すテストで差が出たということ。
記憶にもいろいろあるんでしょうね。
アン・マンゲン氏によると、物語の進行に合わせて紙をめくっていくという作業が補助となり、記憶に残りやすくなる。つまり、触覚が、視覚をサポートするということらしいです。
他の同様の研究
アン・マンゲン氏の他の研究ですが、同じ資料をスクリーンに映写して読んだときと、本で読んだときも同様の結果が出たそうです。資料についての理解度テストの成績に差があったんだとか。
また、プリンストン大学の研究では、キーボードでノートを取った場合と、手書きでノートを取った場合を比較すると、手書きの方が記憶していたという結果もあるようです。
2種類の記憶
上記の記事を読んで思ったのは、昔心理学を学んでいたときに読んだ本で知った、2種類の記憶の話です。記憶には意味記憶とエピソード記憶があるという話。
意味記憶とは、言葉の意味や事実と概念についての記憶で、知識の記憶とも言われます。エピソード記憶とは、個人的体験や出来事についての記憶で、物語の記憶のようなものです。
過去の様々な研究から、この2つの記憶は脳の使用部位も異なり、お互いに影響を与えるものではあるが異なるものである、と言われています。
つまり、前述の結果にあったような、登場人物や設定などは意味記憶で覚えている部分で、物語のイベントはエピソード記憶が働く部分なのかな、と考えてみました。
で、触覚(本をめくること)が影響するのは、体験を記憶するエピソード記憶の部分なので、物語の記憶(=エピソード記憶)の方にだけ成績に差が出たのではないかと思ったわけです。
人間の記憶って不思議だなーと改めて思いました。
個人的には電子書籍にしていきたい派なので、この結果は「うーん・・・」なんですけども。笑
では、また!