アレキサンダー・ベネットさんが語る「武道」と「スポーツ」の違いは何かという話が興味深かったです。キーワードは「残心」です。
アレキサンダー・ベネットという人
TEDxで話をしていたのを視聴したのですが、トークをしていたのは、ニュージーランド出身、京都大学大学院を卒業し、関西大学准教授(歴史社会学)のアレキサンダー・ベネットさん。
剣道7段、なぎなた5段の武道の達人です。2011年の世界なぎなた選手権ではなんと準優勝した強者(つわもの)です。
武道とは
武道とスポートの違いを知る前に、まずは武道とは?という話。
武道は、武士道の伝統に由来する我が国で体系化された武技の修練による心技一如の運動文化で、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道を修練して心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、国家、社会の平和と繁栄に寄与する人間形成の道である。
武道とは「人間形成の道」なんですね。
武道をやってる人たちは「俺達のやってることはただのスポーツではない!」とよく言うらしいんですが、じゃあ何が違うのか?という問いにはなかなか答えられないみたいです。
そして、アレキサンダー・ベネットさんは考えたわけです。
武道とスポーツの違いは
武道とスポーツの違いは「残心」ではないかということ。
残心とは、武道の世界でよく使われる、技を一本決めた後も気を抜かず、次の攻撃に備える心構えを意味するらしいです。
勝負の後に、ガッツポーズなどの喜びの態度や、悔しさの態度などは出してはダメということです。剣道は特にこの残心を大事にしていて、「一本!」を取れたかどうかは打ったあとの態度まで含めて判断されるらしいですね。
そもそも考えると、武道はサムライの真剣勝負から来てるわけなので、剣道での一本はイコール人を殺すということですし、そこにガッツポーズはふさわしくないということを言ってました。また、一本とった後に気を抜いてると、すぐに自分の命が危険になるわけですからね。
最近のオリンピックなどは金メダルを取ればOKという、武道の修行ではなく、勝利至上になっているからガッツポーズもでるんだろうとアレキサンダー・ベネットさんは残念がっていました。
勝てばいい、ということではなく、あくまでも人間形成の道ということですね。納得です。
勝負が決まってからの勝負
残心を言い換える形でうまく表現しているなーと思ったのが、「勝負が決まってからの勝負」という言葉です。
- 何があっても興奮しない
- 何があっても油断しない
- 感情を抑える(平常心)
- ゆとり
- 常に節度のある態度を堅持する
- 相手の気持を考える
- 勝っておごらず負けて悔やまず
- 人のせいにしない(自己責任)
上記のようなことを大事にするべきということでした。
このような重要な要素をもっているから、武道は世界中に広まり、世界中に愛好者がいるという主張をされていました。すでに日本の伝統文化というより、世界文化、世界遺産だと。
僕自身、小さいころ剣道をやっていたことを思い出し、そこまでの気づきは全くなかったなーと反省しつつ、改めて考えてみようかなと思わせられた学びでした!
では、また!