東大中原准教授の採用と育成の関係についての記事が非常に学びになりました。コミュニケーション能力を採用時に見極める必要があるのか!?という、今までの採用や育成(人材開発)のやり方を根本から考えさせられる内容です。
変わりやすいもの、変わりにくいもの
人間の行動特性(コンピテンシー)ですが、どうやら変わりにくいものと変わりやすいものがあるようです。いろんな研究で明らかにされていて、アメリカでは採用ノウハウとして応用されたりもしています。
参考:トップグレーディング101(2010 © Smart & Associates, Inc. )
日本の採用シーンでは「コミュニケーション能力を重視する」という傾向が強い気がしますし、実際よく聞いてきました。……が、最近の優良企業の人事の方々の中には、コミュニケーション能力は重視しないところもあるようです。
自分の会社でも、人事はもちろん、採用に関わるすべての人が知っておくべき大事な情報だと思ったので、記憶強化と振り返り容易化のためメモしておきます。
コンピテンシーの分類は以下の3つです。
1.変わりやすいもの
- リスク志向性
- 知識や技術
- 教育の水準(学歴)
- 仕事経験
- 自己に対する認識
- コミュニケーション
- 第一印象
- 顧客志向
- コーチング能力
- 目標設定
- エンパワーメント(権限委譲)
2.苦労するが、変わるもの
- 判断能力
- 戦略的スキル
- ストレスマネジメント
- 適応力
- 傾聴力
- チームプレー
- 交渉スキル
- チームビルディング
- 変革のリーダーシップ
- コンフリクトマネジメント
3.変わりにくいもの
- 知能
- 創造性
- 概念的能力
- 部下の鼓舞
- エネルギー(行動力/推進力)
- 情熱
- 野心
- 向上心
- 粘り強さ
このリストを見て思ったこと
まず、「変わりやすいもの」の中にコミュニケーション能力があるのが衝撃でした。じゃあ、採用時に一番優先して見極めなくてもいいじゃないかと。
検証された結果からは真反対にもかかわらず、なんとなく、感覚で、「コミュニケーション能力って変わりづらいから採用段階で見極めておかないとねー」という会話を日常的にしていた気がします。
つまり、採用時に見極めるべきは「変わりにくいもの」であるということを認識しました。
また、逆に言うと「変わりにくいもの」を育成でどうにかしようとしているのであれば見直すべきなのかもな、とも。
どう日常に活かしていくか?
このリストから学んだことの、使いどころや課題を考えてみます。
- 採用基準の再設計
- 採用後の人材開発プランニング
- 変わりにくいコンピテンシーをどうするか
まとめると、こんな感じかなと。
まず、採用基準を「変わりにくいもの」にフォーカスして再設計することと、選考時に見極める方法(質問やテスト)を検討することが必要だと思いました。
今のやり方でも、情熱やエネルギーや粘り強さはある程度つかめてるかなとは思いましたが、もっと体系化した方がいいし、創造性をチェックする方法はゼロから考えなきゃいけないなーという感じです。
また、入社後は、「変わりやすいもの」と「苦労するが、変わるもの」をいかに育むかにフォーカスすべきなんだと認識できました。
特に、OJTなどでは変化させづらそうな「苦労するが、変わるもの」を人材開発/組織開発担当としては考えるべきかと思います。営業部門はどうしても育てることに集中投資できる時間が少ないと思うので、変化のキッカケを与えづらいのではないかと。
あとは、既存社員で「変わりにくいもの」を持っていない人をどうするかですね……(これはいわゆる採用ミスということになるのかなぁ)。
当然「変わりにくいもの」のすべてが必要ではなく、会社によって理想の人材像の定義も違うと思いますし、また、全員が同じコンピテンシーを持つ社員になっても幅(多様性)がなくなりそうな気もするので、、、適材適所なんですかね、結局。タレントマネジメントを改めてちゃんとやっていかないといけないと思いました。
いろいろと思考が刺激されるよい学びでした。
早速、できるところから変革していきたいと思います。
では、また!