Googleの元自己開発責任者であるチャディー・メン・タンさんがGoogle在籍時に開発したSIYというEQ育成のための研修プログラムについて書かれた本を読みました。
一言で言うとマインドフルネスや瞑想を中心としたプログラムなのですが、科学的な説明と根拠が盛り沢山で、いわゆる多くの人が持つであろう、よく分からない領域の話という気持ち悪さはありませんでした。
個人的にはすごく参考になりましたし、自社でも(すぐには受け入れられないと思うけど)絶対に取り入れていきたいと思いました。
INDEX
- サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)
- 学んだことのメモ
- EQとは?(p38)
- EQの5つの領域(p39)
- EQの恩恵(p41)
- マインドフルネスとは?(p51)
- メタ注意とは?(p64)
- リラックスしていて、しかも隙のない状態(p66)
- 八週間マインドフルネス瞑想をしたら(p86)
- マインドフルネスの練習を継続する方法(p112)
- 自己認識の3つの情動的能力(p134)
- 自己効力感とは?(p139)
- ジャーナリングとは(p154)
- 自己統制の5つの情動的能力(p163)
- 執着と嫌悪を手放すと、痛みがかならずしも苦しみに結びつかなくなる(p168)
- 仕事のモチベーションを見つける最善の方法(p204)
- 理想の未来(夢・志)をたくさん語ることのメリット(p220)
- 自己認識が弱ければ、共感能力も弱まる(p242)
- 「私とまったく同じ」というエクササイズで人間関係を破綻から救える(p252)
- ほめ方でマインドセットが作られる(p272)
- トングレンはNLPのフォビアに似ているなぁ(p304)
- ポジティブ:ネガティブの理想の割合(p306)
- 何かを実社会のものにする(浸透させ、世界を変える)ための手順(p338)
- どうやって自社に取り入れていくか
サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)
この本は、チャディー・メン・タンさんが書き、日本でこのプログラムを広めていく役割を担っている一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュートが監訳しています。
SIYとは、Search Inside Yourselfのことです。
心を整える手法「マインドフルネス」を、科学にもとづき、日々実践しやすい形にした 「SIY」はGoogle内で熱狂的に支持され、SAP、アメリカン・エキスプレス、LinkedInなど 他の企業や大学にも次々に採用されている。
という、EQの育成を目的とした、マインドフルネスを中心に据えた研修プログラムであり、個人的な興味と、これからの時代に絶対必要になるから学んでおきたいという欲求から読んでみました。
結果、すごく自分のためになりましたし、実践していきたいと思いました。また、周りにも広めていきたいと感じました。
学んだことのメモ
この本から学んだこと、覚えておきたいことのメモを残しておきたいと思います。
EQとは?(p38)
自分自身と他人の気持ちや情動をモニターし、見分け、その情報を使って自分の思考や行動を導く能力
EQの5つの領域(p39)
- 自己認識
- 自己統制
- モチベーション(動機づけ)
- 共感
- 社会的技能
※1〜3は個人的(内省的)、4と5は社会的(対人的)
EQの恩恵(p41)
- 優れた職務遂行能力
- 抜群のリーダーシップ
- (自分自身の持続可能な)幸せのお膳立てをする能力
マインドフルネスとは?(p51)
- 意図的に、今の瞬間に、評価や判断とは無縁の形で注意を払うこと(ジョン・カバットジンの定義)
- 自分の意識を今の現実に敏感に保つこと(ベトナムの禅師ティク・ナット・ハンの定義)
メタ注意とは?(p64)
注意がそれたということを知ること。メタ注意力が向上すると集中力を保てるようになる。
リラックスしていて、しかも隙のない状態(p66)
瞑想をすると、上記の状態になり、穏やかさと、明瞭さが溢れ、幸せが自然に沸き起こる。なぜかというと、幸せは心の基本設定状態だから。それが瞑想によって得られるから。
八週間マインドフルネス瞑想をしたら(p86)
脳の活動的にも(科学的にも)幸せになったし、作業効率をアップする働きも見いだせた。
マインドフルネスの練習を継続する方法(p112)
難しいのは最初の数ヶ月だけなので、仲間をつくる、めいいっぱいやらない、一日ひと息だけやる、という3つが続けるコツである。
自己認識の3つの情動的能力(p134)
- 情動の自覚ーー自分の情動とその影響に気づくこと
- 正確な自己査定ーー自分の長所と限界を知ること
- 自信ーー自分の価値と能力を強く実感すること
自己効力感とは?(p139)
自信の一形態である「自己効力感」は、職務遂行能力と正の相関関係があり、目標設定することよりも効果的かもしれない。
ジャーナリングとは(p154)
ブレインダンプ的に頭の中身をすべて出すことだが、ジャーナリングはすべて書き出すこと。これは少ない時間(数分間)でも続けると大きな効果がある。また、ジャーナリングは自己査定につながる(p156)
自己統制の5つの情動的能力(p163)
- 自制心ーー破壊的な情動や衝動を抑える
- 信頼性ーー正直さと誠実さの基準を維持する
- 良心性ーー自分の振る舞いに責任をとる
- 適応性ーー変化に柔軟に対応する
- 革新性ーー新規な考え方やアプローチや新しい情報を気兼ねなく受け入れる
執着と嫌悪を手放すと、痛みがかならずしも苦しみに結びつかなくなる(p168)
- 執着ーー心が何かに必死にしがみついて放そうとしない状態
- 嫌悪ーー心が何かを必死になって遠ざけ、それに近づくのを拒む状態
仕事のモチベーションを見つける最善の方法(p204)
自分自身の崇高な目標を見つけること。そうなれば、自分の仕事は持続可能な幸せの源になりうる。
理想の未来(夢・志)をたくさん語ることのメリット(p220)
- 現実味をおびてくる
- 手を貸してくれる人が増える
1は自己暗示的に具体化されてくるということだろうと思います。
自己認識が弱ければ、共感能力も弱まる(p242)
島皮質という同じ脳部位が働くからという研究結果がある。
「私とまったく同じ」というエクササイズで人間関係を破綻から救える(p252)
ほめ方でマインドセットが作られる(p272)
- 個人称賛(結果称賛)をされると「固定的な姿勢」が強まる(成功は才能のおかげと考える)
- プロセス称賛をされると「成長志向の姿勢」が強まる(才能は熱意や努力で伸ばせると考える)
トングレンはNLPのフォビアに似ているなぁ(p304)
ポジティブ:ネガティブの理想の割合(p306)
3:1が理想(バーバラ・フレドリックソン)。ネガティブな情動はそれだけ強いし、人間の頭に残るということ。ただし、夫婦だと5:1くらい(ゴットマンの割合と呼ばれる)。
何かを実社会のものにする(浸透させ、世界を変える)ための手順(p338)
何かを世の中に広めていくためには、下記の条件が必要という話です。
- 誰もが○○が自分のためになることを知っている。
- ○○をしたい人は誰でも、やり方を身につけられる。
- 企業は○○がビジネスのためになることを理解している。奨励する企業さえある。
- ○○は当然のことと思われている。「あたりまえだろう」と誰もが考えている。
どうやって自社に取り入れていくか
個人的にすごく学びがありましたし、自社でも絶対に取り入れていきたいと思うので、まずは日本で広めている団体にアプローチしてみることと、まずは自部門で試しにやってみることをチャレンジしようと思います。
マインドフルネスや瞑想やEQは、今後の自社の人材開発のキーワードにしていきたいので、そのためにもチャディー・メン・タンさんも言っていた「何かを実社会のものにする(浸透させ、世界を変える)ための手順(p338)」を参考にしながら、進めていこうと思います。
では、また!